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東海愛知新聞

安心感のある居場所

岡崎の和衷
ヤングケアラー、AC支援のカフェ

ヤングケアラーやアダルトチルドレン(AC)の自助団体「和衷」が、岡崎市若松町でカフェを営んでいる。代表の佐藤由香さん(32)は「居場所づくりは大切。『誰かに自分のことを知ってもらっている』という安心感のある場所にしていきたい」と静かに語る。(横田沙貴)

店舗は住宅街の中にあり、空き家になっていた1968(昭和43)年築の木造2階建て住宅を活用。店内ではコーヒーや紅茶、ジュースなどを提供している。開店当初から駄菓子を販売しており、近所の子どもらが小銭を握り締めて訪れる姿も見られる。

ヤングケアラーは、家族の持病や介護、世話、家事など本来大人が行うであろうことを日常的に行う子どもで、学業や交友関係などに影響があることもある。ACは、家庭内暴力や虐待、家族との不仲などが原因で子どもの頃に心に傷を負ったまま成長した人のこと。自分に自信が持てなくなったり、真面目過ぎたりといった特徴があるとされ、成長後も生きづらさを感じて苦悩する人もいるという。

佐藤さんは元ヤングケアラー。母親が統合失調症で小学生の頃から家事や母親の話を聞くといったことを行っていたが、周囲の大人に頼ることができず、家族や自身が急病のときに夫以外の家族らへの頼り方が分からず苦労したという。また、数年前にうつと診断された。母親との応対が原因の1つになったと分析しており、「過去の経験から今も体調不良になることもあり、影響の大きさを痛感した」と言い、ヤングケアラーの支援を決意。2021年10月に和衷を立ち上げた。

■柔軟に対応できる拠点

和衷では悩みを抱える利用者に自分の話をしてもらい、佐藤さんらが話を聞く「お話会」を中心に活動。だが、「他人の目が気になる」「仕事で行けない」といった声もあった。そこで日時や他人の目を気にせず、柔軟に対応できる独自の拠点づくりを決心した。

昨年11月に開店。オープン当初は駄菓子販売に力を入れ、1カ月後ごろからカフェ運営をスタート。夫の佑一さん(32)も理解を示し、協力している。近隣の子どもがよく足を運び、店内で買った駄菓子を食べたり、宿題をやっていったりと“居場所"として認められるようになっていった。

また、話を聞いてもらおうと、市外から足を運ぶ利用客も。豊川市から訪れた37歳のACの女性は「ほかの人の話を聞き、自分の愚痴を吐き出せる場所は大切。こうした場があることで自分らしくいられる」と安堵(あんど)した表情を見せる。

佐藤さん自身も「利用してくれる方の話を聞くだけでも勉強になるし、子どもたちと接することでパワーをもらえる」とやりがいを感じている。

営業は平日のみで原則午後1~5時。問い合わせは、佐藤さん(090―9092―4725)へ。

■マッチング成立

カフェ和衷は、空き家の情報を、地域貢献団体に紹介し、利用促進を図る岡崎市の「地域貢献型空き家利活用マッチング」事業の初の成立事例となった。

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