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東海愛知新聞

雇用創出の一助に

バディカフェ ネパールの首都に移転

ネパールのバディ族支援のために営業していた岡崎市細川町の「バディカフェ」(6月30日閉店)が、同国の首都カトマンズに移転する。新店舗の店長を務めるバディ族のシータ・バディさん(27)が開店準備のために来日。現地でのバディ族の雇用創出と経済的自立を目指してカフェ経営のノウハウを学び、9月30日に帰国した。(横田沙貴)

バディ族は、1959(昭和34)年に廃止されたネパールのカースト制度において最下層の「不可触民」と言われた。その考えは国内で根強く残っており、貧困、就労差別、人身売買、少女らへの強制売春といった被害を受けているという。

同カフェは、ゴスペル愛好家の女性3人が中心となり、2017(平成29)年6月に開店した。ネパールから輸入したコーヒー豆やドライフルーツ、バディ族の少女が作ったアクセサリーなどを販売し、売り上げの5%を支援に充当。少女らにはコーヒー豆の梱包やアクセサリー製作などの仕事を提供していた。20年にオンラインショップ「Badi cafe工房」を開設。岡崎の店舗を閉め、インターネット通販に絞っている。

そうした中、ネパールで保護された経験のあるシータさんが、日本からの支援を受けて20年4月にバディ族の子どもを養育する施設「ゴスペルホーム」をカトマンズに創設。21年にはバディ族が輸出商品の準備を担う現地法人を設立するなど、雇用創出にも力を入れており、その一環でカフェの運営を計画した。

増築中のゴスペルホーム2階部分を店舗にする予定。建設費を集めながら11月にコーヒーなどを先行販売し、来年3月までの開店を目標にしている。「バディ族がこれまでと違う仕事ができるチャンスをつくることにやりがいを感じている。自立できる仕組みをつくりたい」と情熱を燃やす。

シータさんは9月27日、閉店した細川町のバディカフェを訪れ、コーヒーの入れ方を勉強。バディカフェを運営するNPO法人の代表・ウィリアムズゆりさん(47)から、道具の扱い方や分量、湯の温度といったネパールの豆の特徴を抽出する方法を教わった。同店の道具の一部はネパールの新店舗で使われる。

部族の名前を出すことで危害を加えられることを心配する声もあるが「バディ族という名に誇りを持っている」と、あえて「バディカフェ」という店名でオープンする。ゆりさんは「ムーブメントが起きればネパール国民にとって良い刺激になる」と期待を寄せる。

日本のバディカフェでは運営方法を確立させてバディ族の働き口にすることを目標にしてきた。立ち上げメンバーの佐藤美香さん(43)は「(ネパールでの開店に)10年、20年はかかると考えていたが、シータが立ち上がってくれてうれしい」と応援する。

現在、ゴスペルホームの建設費などを募っている。詳しくはシータさんらを支援する「ゴスペルエイド」のウェブサイトで。

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