東海愛知新聞バックナンバー
 9月21日【日】
県内最大級の産業遺産
岡崎“岩戸の水車”有志が修理、再稼働へ
直径6.48メートル 幅1.73メートル

岡崎市岩戸町の料理店「由良苑」の庭園にある明治時代の水車を、有志5人が3カ月かけて修理した。産業遺産の水車としては県内で最大級とみられ、再稼働も近い。

水車は直径6.48メートル、幅1.73メートル、出力は20馬力。幅が広いのが特徴で、同市桜井寺町に残る水車(直径6.4メートル、幅1.04メートル)より一回り大きい。

由良苑の経営者、由良勝さん(64)によると、明治期に南側の乙川から導水、現在地で「ガラ紡」を始めた。先の大戦後は休業したが、父親の要さんが昭和25(1950)年ごろ反毛工場として再開。モーターと併用して6台の機械を動かしていた。

だが、化学繊維に押され昭和43年に廃業、工場を改築して料理店にした。廃業に当たり水車を壊そうと話が出たが「もったいない」と“延命”。この間、何度も修理し、NHKテレビの天気予報の背景に水車の映像が使われたという。

時の流れとともに老朽化は進んだ。そこで〈平成の大修理〉を行い、5年12月によみがえった。要さんは再生を見て、翌年78歳で亡くなった。

また傷んできたことから、由良さんや店の常連客らが休日ごとに木や補強の金具を取り替え、コールタールを塗って今年6月に修理を終えた。費用は約20万円。

「でも、素人仕事だったからバランスが悪くスムーズに回転しない。もう一度手を入れたい」

モーターで回したらどうかと言う人もいるそうだが、由良さんは「いやいや、反対に発電機を置いて水車で庭の照明ぐらいはまかなおう」と計画。先月末の豪雨で水路に土砂が流れ込んだため近く取り除くという。「これも産業遺産だから、今後も守っていきたい」




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