東海愛知新聞バックナンバー

 8月18日【火】

100年ぶり「葵の誉」

23日・岡崎 吹奏楽祭内で歌披露

昨年楽譜や歌詞などが見つかった徳川家康を(たた)える唱歌「葵の誉」が23日、岡崎スクールバンド協議会主催の第52回岡崎市吹奏楽祭(市民会館)内で100年ぶりに披露される。吹奏楽祭に参加する児童や生徒から選抜された80人の記念バンドが伴奏を担当、各校の代表者計300人が歌声を響かせる。児童、生徒らは家康公400年祭の節目の年に披露する“幻の歌”の練習に励んでいる。(横田沙貴)

「葵の誉」は、大正4(1915)年に市内で行われた「徳川家康・本多忠勝両公300年祭」の式典に合わせて作られ、当日は陸軍・軍楽隊の演奏で市民1万2000人が歌ったとされる。作詞は同市渡町にあったとされる渡里城の城主の子孫で、滝廉太郎作曲の「箱根八里」の作詞などで知られる鳥居忱、作曲は「どんぐりころころ」「隅田川」などで知られる梁田貞が担当。家康の勇猛さや家臣の三河武士との絆などが歌詞に盛り込まれた。

100年前の300年祭に関する資料は少ないが、市立中央図書館に寄託された資料にあった「葵の誉」の楽譜複製を基にして市内の現職教諭が編曲し、復活させた。今回披露する「葵の誉」は、岡崎出身の若手ピアノ奏者・山中惇史さんが吹奏楽伴奏用に手を加えた。

合唱・演奏に選ばれた小学生から高校生までの児童・生徒は各校で練習を積んでいる。南中学校吹奏楽部からは2年の末永瑞星さんがサクソホンパートに選ばれ、3年の犬飼優人君と2年の宍戸勇斗君が合唱に参加する。3人は「(100年前の歌の歌詞は)聞き慣れない言葉が多くて歌うのが難しい」、「本番で失敗しないよう頑張りたい」などと話す。

同協議会の鈴木聰一会長は「音程の高低差が激しいが、歌いやすい曲」と特徴を説明。「100年前に『葵の誉』を歌った人たちの思いを、次の世代へ伝えていくのも目的の1つ。今回選抜された児童・生徒には、江戸時代という265年の平和の基礎を作った家康が生まれた岡崎で生活している喜びを、歌や演奏に込めてほしい」と話している。

吹奏楽祭は家康公400年祭記念事業の1つ。入場無料で当日会場へ。午前の部は9時20分〜午後0時45分。午後の部は1時20分〜5時。同協議会に所属する小学校16校、中学校17校、高校10校の約2000人が参加する。「葵の誉」が披露される式典は午後1時20分から30分程度の予定。