東海愛知新聞バックナンバー

 6月25日【水】

?を!にする展示

市美博 奥深い古文書の魅力

古文書の「?」を「!」にしよう―岡崎市美術博物館で、多種多様な古文書を取りそろえた展示会「古文書 みりょく発見!」が開かれている。これまで「なんとなく」見ていた古文書の内容がみるみるうちに理解できるようになる展示に、子どもから大人まで幅広い年代の人が足を運んでいる。(大山智也)

一見すると内容が分かりづらく、ついパネルの解説文ばかりを読みがちになる古文書。武具や絵画など、ほかに注目を集める展示物があると、見向きもされないことがある。今回は、そんな古文書の形式やルールを学びながら、展示を見終えるころには古文書の楽しみ方が身に付く、実践的な展示を企画した。

■和紙の質と色

古文書など約120点を展示。3部構成となっており、第1部は「古文書のかたち」と題して、紙の色や質感、形に着目。書いた人の位が高いほど、より大きく、分厚い、良質な和紙が使われる。また紙自体に色を付けることで、誰が、どのような目的で書いたものなのかを判別できたり、紙の折り方やとじる向きで用途が推測できたりする。

■サインは花押

第2部は「古文書のサイン 花押とはん」。時代が進むにつれ、従来の署名に代わって目にする花押(署名の代わりに使う記号)とはん。徳川将軍家の花押を例に、家康から代を重ねるごとに少しずつ形が変化する様子が紹介されており、時代によって移り変わる花押とはんに込められた意味を学ぶ。

■比べて読もう

第3部は、複数の古文書を見比べ、実際に内容を読み解く力を付ける「くらべて読む 古文書を読んでみよう!」。岡崎藩領の岡村と旗本領の保母村の間で起きた鉢地川の水利用をめぐる争いについて、幕府に提出された両者の訴状を見比べ、誇張表現や正反対の言い分などを探し、問題の本質が理解できる「荒巻水論」。複数の古文書を読み解くうちに、少しずつ全体像が浮かび上がってくることが実感できる。

展示担当者は「これまで『古文書は読めないから』と敬遠してきた人にこそ、ぜひお勧めしたい展示。奥深い古文書の世界の一端に触れてもらえれば」と話した。

観覧料は一般300円、小・中学生150円。市内の小・中学生、各種障害者手帳の交付を受けている人とその介助者は無料。7月27日まで。開館時間は午前10時〜午後5時。月曜休館(21日は開館、22日は休館)。期間中はワークショップや展示解説など関連イベントもある。問い合わせは同館(28―5000)へ。