東海愛知新聞バックナンバー

 6月18日【水】
岡崎出身のチェロ奏者

中木さんに聞く

8月3日、コロネットで演奏会

岡崎市出身のチェロ奏者中木健二さんが、8月3日午後3時から、市シビックセンター・コロネットで開かれる、若手弦楽演奏家3人による演奏会「アンサンブル天下統一」に出演する。公演を前に意気込みなどを聞いた。(横田沙貴)

―岡崎での思い出は。
小学生のころ、友達と一緒になって大樹寺や隋念寺、岡崎城など徳川家康公ゆかりの地を自転車で回っていました。この時のことが今の音楽性に影響を与えたのではと思っています。小中学校は自主性のある学校だったので、気になることは調べるという習慣が付きました。今、学生を受け持っているのでこの習慣は大変役に立っています。
―公演の聴きどころは。
世界中で人気のあるオペラ「カルメン」の楽曲を集めた「カルメン・ファンタジー」。ピアニストの松本望さんが、この日のために編曲してくださった特別バージョンでお送りします。どのような仕上がりになっているのか、楽しみにしていてください。
―共演者の印象は。
お2人とも日本を代表する若手トップ弦楽奏者です。演奏を一度聴いたら忘れられないような、インパクトの強い演奏家で、少し年上の頼れる先輩です。
ビオラの鈴木康浩さんはとてもフランクな人ですが、演奏への思いがとても強い方です。ドイツに渡り一流の音楽を学んでおり、演奏中の集中力と丁寧さは類をみません。
バイオリンの長原幸太さんは舞台で一番生き生きしています。リーダーシップがあり、演奏に加わるメンバーをよくリードしてくれます。長原さんの演奏は、「音楽は生もの」だということを教えてくれます。
お2人との共演で、今まで見えなかったものが見えるかもしれないと、私自身も当日を楽しみにしています。
―市民の皆さんにメッセージを。
クラシックは「堅い」「敷居が高い」というイメージを持たれていると思いますが、そんなことはありません。モーツァルトやハイドンらの時代には、今の演歌やジャズ、ロックなどと同じように広く親しまれてきました。クラシックは今の音楽と同じかそれ以上にスパイシーで刺激的な部分が多く、皆さんは真逆の印象を受けると思います。
演奏会で「クラシックって意外と面白いじゃん」と感じてもらえると思っています。皆さんのその瞬間を、私たちも一緒に分かち合えたらと思います。

アンサンブル天下統一は全席指定3,000円。同センター(72―5111)、チケットぴあ(ddコード226―626)、ローソンチケット(Lコード46991)などで販売している。

なかぎ・けんじ
3歳よりチェロを始める。愛教大附属岡崎小・中学校を卒業。県立岡崎北高校に進学後、音楽に打ち込むために名古屋市立菊里高校音楽科へ編入し、東京藝術大学を経て2003年にロームミュージックファンデーション奨学生としてパリ国立高等音楽院に入学。07年に同音楽院をプルミエ・プリ(1等賞)および審査員特別賞で卒業した。
ルトスワフスキ国際チェロ・コンクール第1位、第1回Note et Bien国際フランス音楽コンクールでグランプリとドビュッシー特別賞、ブーレーズ特別賞を受賞。
今年4月に帰国し、ソリストおよび室内楽の演奏活動を本格始動。東京芸術大音楽学部准教授も務める。