東海愛知新聞バックナンバー

 4月15日【火】

幻の歌 葵の誉 楽譜発見

岡崎市立中央図書館で保管
故松井茂雄さんが寄託

大正4(1915)年に岡崎で行われた「徳川家康・本多忠勝両公300年祭」の式典歌として歌われた「葵の誉」の楽譜が、岡崎市立中央図書館で見つかった。

祭りは龍城神社などで3日間盛大に行われ、葵の誉は市民1万2000人によって歌われた。祭りの記録は『家康忠勝両公300年祭紀要』として中央図書館に保管されている。

紀要によると、作詞は岡崎市渡町出身の鳥居忱・東京音楽学校教授。作曲は弟子の梁田貞。「清き流れの徳川や」と歌い出し、天下人・豊臣秀吉をしのいだのは家康を頭にする三河武士だとたたえる格調高い歌詞が続く。だが、紀要には楽譜が載っていない。

2年前に歌の存在を知った元中学校長で同市宮石町の磯谷栄一さん(81)が手を尽くして探したところ、同市康生通東の化粧品店みどりやの先代松井茂雄さん(故人)が、他の資料とともにコピーして市図書館に寄託していたことが分かった。

磯谷さんは「東海愛知新聞にも載せていただいて探していた楽譜が発見できたのは運命を感じます。来年の400年祭には先回に負けない、1万2000人以上の市民で歌声を響かせてほしい」と顔をほころばせた。(岩月健)