東海愛知新聞バックナンバー

 3月9日【日】

「思いを風化させない」

岡崎市職員ら被災地での経験語る

東日本大震災から間もなく3年―。昨年度1年間宮城県亘理町に派遣された岡崎市職員2人らが8日、市せきれいホールで被災地の状況を語った。市と同町との交流が物語になっている第35回岡崎市民芸術文化祭演劇公演「夢紡ぐ―風薫る岡崎の詩」(29、30日、同所)の出演者らが聴き入った。(竹内雅紀)

同町出身で劇中の東北弁指導をする豊田市在住のインターネットラジオパーソナリティー金子まさ江さん(53)が実家の状況を写真で説明した。

地震発生から約1時間後に津波が同町に押し寄せ、10分後には町の約半分が水没。「故郷が一瞬にして流された。兄や妹となかなか連絡が取れず、何もできない自分に気付いた」と振り返った。発生1カ月後に訪れた同町を「ゴーストタウン」と表現し、涙ぐみながら自然災害の恐ろしさを伝えた。「復興には時間がかかるけれど、いつか東北の地を訪れて」と呼び掛けた。

被災者の住宅の集団移転など生活再建を目的に派遣された市街地整備課の横山晴男主幹(50)と都市計画課の瀧波勝俊主査(35)ら3人は現地の仮設住宅で1年間暮らした。

横山さんは「私たちは地震を経験していないことが不安材料だったが人的支援を感謝された」と話し、瀧波さんは「1年間住んでみて住民と町の信頼関係が強いと思った」と語った。「必要なのは被災地への思いを風化させないこと。この地域で同様のことが起きた場合は教訓を生かさなければならない」と強調した。さらに「不足している物資を彼女らが呼び掛けるとすぐに集まった」と、AKB48の影響力に脱帽していた。

劇は29日が午後6時30分から、30日は午後2時から。大人1,000円。中学生以下500円。問い合わせは、せきれいホール(25―0511)へ。