東海愛知新聞バックナンバー

 1月17日【木】

パーキンソン病 患者負担軽減も

生理研チーム 治療法の仕組み解明

岡崎市明大寺町の自然科学研究機構生理学研究所は、知見聡美助教と南部篤教授の研究チームがパーキンソン病の治療法の1つ「脳深部刺激療法(DBS療法)」の仕組みを解明したと発表した。今回の研究成果が治療法の改善や患者の身体的負担軽減につながる可能性もあるという。(竹内雅紀)

パーキンソン病は、脳内のドーパミン神経細胞の減少により手足が震えたり、動かしにくくなったりする難病。

■脳の深い部分に電気刺激与え、運動障害改善

初期は投薬治療だが、症状が重くなると、手足の運動をコントロールすると考えられている脳深部の「淡蒼球内節」に刺激電極を埋め込み、高い頻度で電気刺激を与えるDBS療法が採用される。DBS療法によって運動障害は改善されるが、作用の仕組みはこれまで明らかにされていなかった。

■必要最小限で効果ありそう

研究チームは、正常なサルの淡蒼球内節に高頻度の連続電気刺激(百)を与え、付近の神経活動を記録。その結果、淡蒼球内節の神経活動が完全に抑制された。また、淡蒼球内節に抑制性神経伝達物質GABAの作用を抑える薬を投与すると、神経活動が再開した。これにより、GABAが淡蒼球内節に作用して神経活動を抑制していたと分析。淡蒼球内節の神経活動を抑制している時に、運動の発信源となる大脳皮質を電気刺激しても淡蒼球内節の反応がなく、「情報伝達の遮断」が明らかになった。

南部教授は「DBS療法は淡蒼球内節を経由する情報伝達の遮断で効果を示すという新しい仕組みが提唱できた。24時間続けて電気刺激を与えなくても必要最小限の電気刺激で効果を得ることも可能だ。患者への負担が少なくなるのではないか」と話している。

この研究は、文科省脳科学研究戦略推進プログラムの一環。研究費に補助金が出ている。