東海愛知新聞バックナンバー

 6月9日【土】

■囲碁アマ7段の免状

岡崎の市川さん
「盤上に無限の変化」魅力

70年以上にわたって囲碁に親しんでいる市川恵一さん(80)=岡崎市羽根町=に、日本棋院からアマチュア7段の免状が交付された。「盤上に無限の変化があるのが魅力」と話す市川さん。今もインターネットを通じた対局に熱が入っている。(大津一夫)

■父親が手ほどき 小1から親しむ

小学校1年生のころ、父・重蔵さんから手ほどきを受けた。5歳年上の兄・忠男さんと一緒に習ったが、すぐに兄を追い越した。当時、昼も夜も市川さんの自宅には囲碁愛好者が集り、対局していたという。

高校を卒業後、大学へ進学しないで東京にある日本棋院の近くに下宿し、プロ棋士の木谷実さんに師事。1年以上、囲碁漬けの毎日を送った。ただ、プロ棋士として生活を支えるのは無理だと感じていた。

岡崎に帰ってから日本棋院中部総本部に所属。一時はプロ棋士として活躍したが、家業を継ぐため退会した。

その後は、仕事のかたわら各地の大会に出場しながら腕を磨き、昭和38(1963)年、5段に認定された。

現在は主にインターネットで対局。1日中、端末機の前に座って対局を楽しむこともあり、10年ほど前から「腕が上がった」と感じるようになり、傘寿(80歳)を迎えたのを機に7段の免状を申請した。

「囲碁に運という言葉はない。あるとすれば相手がミスをしたときだけ。実力のある人が勝ちます」という市川さんは、「これからも、今まで通りに囲碁を楽しみたい」と話している。

愛知、岐阜、三重、富山、石川、福井の6県と静岡県の一部をエリアにする日本棋院中部総本部(名古屋市東区)によると、7段の免状を取得する人は年間数人という。