東海愛知新聞バックナンバー

 5月8日【土】

執筆者は多士済々
随筆、創作など73編

『文藝岡崎』28号

岡崎文学会(中根清己会長)はこのほど、『文藝岡崎』第28号を刊行した。A5判204ページ。随筆や創作、評論など73編を収録。初登場の藤井孝弘前教育長はじめ多士済々の執筆者が年1回の土俵上で多才ぶりを披露し、読者を楽しませる。

今年の巻頭は視力障害ながら毎年寄稿を続ける前同人会長、兵藤進一さんの「視界0メートル」。音楽を聴きながら若き日に親しんだ文学の思い出を語り、山頭火の「生きるだけ生きよう草萌える」の句に未来を託す。明るい結びに力がわいてくる。

「『ギルティ』オア『ノットギルティ』」は、名作と評判の高かった米映画「12人の怒れる男」を話題にしながら、時事的なテーマの裁判員制度を取り上げる。

そのほか、災害の記憶や旅の思い出、家族のことなど随筆の題材はさまざま。滋味豊かな文章に心が温まる。

俳人・野見山朱鳥の岡崎滞在を通して昭和30(1955)年代初頭の岡崎俳壇と中央とのつながりを克明にたどった「天守閣趾(あと)にのぼれば」は興味深い。

市内の書店で発売中。定価500円。


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