東海愛知新聞バックナンバー

 4月22日【木】
岡崎市生平小学校

愛鳥活動28年の蓄積「探鳥ガイド」を発行

学区全世帯に配る教師も学習で活用

“愛鳥活動”を続けている岡崎市生平小学校が、カラー印刷の冊子「ふるさと探鳥ガイド」を発行した。これまで28年間の活動で収集した野鳥の情報が基になっている。500部作り、このほど学区内の348世帯に町内会を通じて配られ、学校では教師や児童が学習に活用している。(佐宗公雄)

74種の写真一覧

ガイドはB5判、47ページ。学区内で野鳥を観察しやすいエリアに校庭を加え、計11コースを選んだ。各コースに絵地図を付けて解説し、野鳥の写真などを添えた。

野鳥74種の写真一覧とリストも載せ、見られる時期、頻度と、カタカナで鳴き声の特徴を入れた。ホトトギスは、夏にまれに見られ、鳴き声は「キョッキョ キョ キョ キョ キョ(特許許可局)」といった具合。

執筆と編集には全教職員17人が当たり、岡崎野鳥の会の杉浦清丸さんと松本哲之介さん、保護者を通じて縁を持った写真家井上進さん(名古屋市在住)が協力、写真も提供した。

声が弾む探鳥会

生平小の愛鳥活動は29年目を迎えた。1学期最初の探鳥会は20日の1時間目。

探鳥ガイドを中心になって編集した山田哲也教諭はこの日、5年生、2年生と学校南コースへ。ガイドをかざして「この本、知ってるかい?」と児童たちに聞くと、「うん、家にもあるよ」。

「あっ、あれはヒヨドリだ」と児童。「あそこ、田んぼの端っこにキジがいるよ。双眼鏡で見てごらん、色がきれいだろ。オスだよ」と山田教諭。「ぼく初めて見た」「ぼくは3度目だよ」。児童たちの声が弾んだ。

山田教諭は生平小学校に赴任して10年目。「野鳥に詳しくなりましたねえ」と言う。

探鳥ガイドに10本のコラムを書いた荻野真市教頭は、野鳥観察25年。「4年前ほどに冊子を作ろうと話が出て今年3月25日付で発行できました」。コラムの中で「野鳥のフンの表面の白いものはおしっこで、尿酸が固まったもの。自動車に落ちていたら、塗装を悪くするから早めに洗って」とベテランらしいくだりも。

今春新任の河合美智代校長は「児童から『カラスという鳥はいないよ。ハシブトガラスやハシボソガラスと言うんだよ』と教えられました」と笑う。「この冊子は学区の人や児童たちにすぐ役立ちます」と語った。

地域の人に感謝

同校は昨年11月、環境省で開かれた「全国野生生物保護実績発表大会」で文部科学大臣奨励賞を受賞した。今年3月に退職した原博司前校長は、学区の人々の支援・協力に感謝した上で、「児童、学校、学区が一体となって愛鳥活動、野生生物保護活動をさらに発展させてほしい」と話している。


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