東海愛知新聞バックナンバー

 4月12日【日】
おかざき匠の会

十王公園に「なかよしの像」設置

万博会場で制作、寄贈
江戸のふるさと岡崎 “命と平和”をカタチに

愛・地球博(愛知万博)の地球市民村に参加した「おかざき匠(たくみ)の会」が石像「なかよしの像」を岡崎市に寄贈した。万博会場で制作したもので、石像は市役所西庁舎北側の十王公園に設置された。匠の会による万博関連事業は石像設置で一段落。万博参加の成果は、万博後に匠の会を核に発足した交流勉強会「おかざき塾」に引き継がれている。

石像は岡崎産の花崗(かこう)岩で、高さは台座を含め1.8メートル。デザインを担当した戸松政洋さん(「石彫の戸松」=同市上佐々木町)は、「具体的な形としてではなく、大切なものを抱く人類のイメージです」という。

匠の会は万博参加テーマを、戦のない時代を切り開いた徳川家康の平和思想「厭離穢土(おんりえど)欣求浄土(ごんぐじょうど)」に求め、「命と平和」とした。石像の左隣に据えた“メッセージ”には「戦国乱世から平和への出発のまち岡崎らしく、願いを込め刻みました」と制作意図が彫ってある。

4年前、万博開幕の3月25日から4月30日までの参加期間中、地球市民村のパビリオン前広場に岩を置き、来場者や匠の会会員らがノミで刻んでいった。石像の無数のノミの跡には、来場して刻んだ徳川宗家18代当主・徳川恒孝さんの思いも残されている。完成した石像は岡崎公園の一角に仮設置されていた。

匠の会は異業種の職人集団。パビリオンに展示した「きりえ屏風(びょうぶ)絵・家康公と朝鮮通信使」は在日大韓民国大使館を経て国立韓国伝統工芸院へ、来場者ら1万人余が草木染の手法で手形を押した「命と平和の手形巻物」115巻は龍城神社に奉納された。天蓋(てんがい)は徳川記念財団に、牧達雄大樹寺管主(故人)の揮毫「厭離穢土 欣求浄土」は、遺族と大樹寺に届けられた。

地球市民村の理念は「持続可能な社会の実現」だった。万博当時、グローバルスタンダードが声高に叫ばれ、そのあげくが米国の金融暴走と崩壊。

おかざき塾は世界を見つめながら、万博参加を「江戸のふるさと岡崎」をキーワードに地球市民村の理念を継承し、地域の自立と共生を目指して活動している。

後世に伝える主張

万博参加プロジェクトの代表を務めた、おかざき塾代表・深田正義さんは「なかよしの像は後世に伝える岡崎の主張です。万博参加の経験を踏まえ、今後も『命と平和』の思想に学んでいきます」と話した。

※徳川恒孝様、徳川宗家および徳川記念財団の「徳」は正確には旧字体「コ」(「心」の上に横棒が入る)ですが、この字はパソコンの種類によっては表示できないため代わりに「徳」の字を使っています。


<<インデックスへ  | <<前日のニュースへ

HOME