東海愛知新聞バックナンバー

 2月25日【水】

矢羽根に若い感性

高校生用に新シリーズ
愛産大学生と「小山矢」が開発

岡崎市福岡町の矢師、小山三郎さん(60)=矢の製造会社「小山矢」経営=と、愛知産業大学デザイン学科の学生6人が、高校の弓道部員向けに「矢羽根草子」シリーズを共同開発した。3月上旬にも商品化され、全国の弓具店65店で販売される。小山さんは「学生の感性が反映された出来映えに満足」と喜びを語っている。

「矢羽根草子」シリーズは、季節の花や自然をイメージしてデザインされた「花暦」「風暦」「風林火山陰雷」の3種類。各種に統一感を出しながらも、矢羽根の色彩と模様の異なる6本で一組となっている。価格は一組1万8,000円を予定。それぞれ、デザインに込められた意味を解説したリーフレットが付く。

ワシントン条約で捕獲が禁止されているためワシやタカの羽は使えず、これまでは七面鳥の羽に模様を印刷していた。小山さんは新機軸を打ち出そうと、紙に印刷したデザインを熱で羽に転写する染色技術を開発。昨年5月末、「高級感のある若者向けの矢羽根をデザインしてほしい」と、同学科の佐藤延男教授に依頼した。

佐藤教授が学生に呼びかけたところ、弓道経験者2人を含む1-3年生6人が開発に参加。佐藤教授を含めて持ち寄ったデザインは約80点に上った。一本一本にテーマと名前をつけてすべて試作品を作り、全国の弓具店に送ってアンケートを募ったところ、高い評価を得た。

完成した矢について、中学、高校時代に弓道部だった同学科1年の二宮真琴さん(19)は「同じ模様の矢羽根に疑問がありました。今回、自分が欲しいと思うデザインが商品化されるのはうれしいです」。高校で弓道部に所属していた3年の土井貴之さん(22)も「矢羽根草子シリーズは繊細な色に仕上がりました」と話している。


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